開発途上国では、充分な医療サービスを受けられないことで命を落とす人が多く、基礎的な医療の充実や公衆衛生の向上が求められています。
現在は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)「すべての人が、健康増進・予防・治療・機能回復にかかる基礎的な保健サービスを、必要なときに負担可能な費用で受けられること」が世界の保健医療分野の目標であり、UHC達成に貢献するためにさまざまなプロジェクトが実施されています。
インテムコンサルティングでは、特に、現地のニーズに合致した医療機材の基本設計とそれらの調達監理にかかるコンサルティングサービスを提供しております。
弊社はパレスチナで増加している非感染性疾患(NCDs)に対応するため、西岸地区のラフィディア病院、ガザ地区のナセル病院、ヨーロッパ病院、インドネシア病院の4病院を対象に、NCDs診断・治療のための医療機材整備プロジェクトを進めています。
このプロジェクトは、イスラエル・ハマス紛争前に始まったため、ガザ地区にも入域し保健庁や医師と協議をして必要な機材を選定しました。ガザ地区では、水道水の塩分含有量が多く滅菌機や洗濯機が故障しやすく、また、患者の域外搬送にはイスラエル側の許可が必要であるため、域内での医療サービス提供が求められています。
現在はガザ地区への入域ができませんが、西岸地区へは循環器疾患の検査や治療のため、MRIや血管造影撮影装置などの機材調達が進んでいます。
ガザ地区では病院関係者と共に本案件を作り上げてきたため、紛争による病院の破壊や関係者の負傷を思うと胸が痛みます。一刻も早い停戦と復興を心からお祈りいたします。
キルギスでは循環器疾患やがんなどのNCDsによる死亡率が約80%に及びます。現地政府も医療体制の改善に取り組んでいますが、医療機材や医療従事者が不足しており、十分な医療を提供できていません。そのため、病院に行っても十分に検査や治療ができず、多くの人が命を落としています。
弊社はこの問題に対応する二つの無償資金協力案件を実施しています。チュイ州内の二次医療施設10か所および首都ビシュケク市内の三次医療施設3か所に対し、医療機材の整備を行っています。
現場では、30年以上前に製造された旧ソ連製の機材が修理されながら使用されていたり、故障したまま放置されている機材も多く見られ、日本との医療環境の違いを痛感しました。
本プロジェクトを実施することで、少しでも多くの人に十分な医療を提供できるようになることを目標としています。
ベトナム社会主義共和国は過去のベトナム戦争という悲しい経験を乗越え、近年目覚ましい経済成長を遂げており、人々のライフスタイルも大きく変化しています。それに伴いがん疾患数が急増しています。
首都ハノイ市内にある国立がん病院には、ベトナム中・北部から公的医療保険患者(中・下階層)が多く来院し、検査や治療を数か月待たなければならない状況が続いています。発見の遅れ、治療遅れとなるケースが多く、がん死亡率は世界第50位(日本127位)と深刻な状況であります。
そのような状況を少しでも改善すべく、弊社は2023年に新設された国立がん病院第一施設に画像診断・治療計画機材の整備支援を行います。本支援により、1日2,000人以上の外来患者受入が可能となり、検査・治療時間の短縮、治療待ち期間の短縮が期待されます。一人でも多くの患者さんの早期診断・治療を可能することにより、死亡率改善のための貢献をしていきます。