プロジェクトは、計画立案、実施、モニタリング、評価というサイクルで進められていますが、そのサイクルの管理手法をプロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)といいます。
プロジェクトの開始前、実施中、終了前および事後の各段階で調査業務(計画策定調査、中間・終了時・事後評価調査)を実施しており、プロジェクトの的確な運営管理が求められています。
インテムコンサルティングは同手法を用いた多くの調査経験を有しており、専門的な見地から、コンサルテーションを行っております。
タンザニア国の地方道路事業では、Labor-based Technology(LBT:最低限必要な機械を使用する以外、人力で道路整備を行う労働集約型の工法)を活用した道路事業が推進されています。
本案件は、地方道路局職員(発注者)および道路施工業者(受注者)を対象とした能力強化支援を目的とし、弊社は「モニタリング専門家」として参画しました。
タンザニアの地方道路開発・維持管理では、財源不足、発注者・受注者の技術・経験不足、機材不足、執行予算の遅延問題等が課題であり、限られた予算内での業務改善、政府職員や施工業者の能力強化、並びに地方道路開発・維持管理業務プロセスの改善が求められていました。
モニタリングとは、プロジェクト開始後、計画に基づく活動実施状況や成果の達成度を確認し、必要に応じて軌道修正を行うことです。実施期間中の様々な変化に対応して活動や成果を見直すことから、プロジェクト管理の柱となっています。例えば、地方道路の主要な利用者である地域住民の満足度調査を実施し、住民の声を地方道路整備事業に反映し、住民が利用しやすい道路づくりを目指しました。
またプロジェクトの終了後も持続的に活動できるよう、モニタリング手法の仕組み作りを協力しました。
ブータンは山岳地帯に属し農地が狭いため、農作業の効率は概して低いこと、若年層の都市への流出および農村人口の高齢化による労働力不足が顕在化していることから、農業機械化政策が推進されてきました。
同政策の根幹である農業機械の導入は、20年以上に渡り日本が支援しており、その実施を担うのが農林省農業機械化センター(AMC)です。
ブータン側の事業体制の強化・効率化および自立に向けた取組みを支援するため、AMCを拠点とする技術協力「農業機械化強化プロジェクト(2008 ~2011年)」が実施されました。
続いて、農業機械の性能・安全性について国家認証標準の作成、農業機械の改良・開発やその効率的な利用促進を図るため、「農業機械化強化プロジェクト・フェーズ2(2014~2017年)」が実施されました。
AMCは、モニタリング・評価(M&E)セクションを設立しましたが、効果的なモニタリングを遂行できませんでした。
このような状況の中、弊社は業務の実施状況にかかるモニタリング能力を強化し、業務改善へのアクションにつなげるための指導を行いました。
現地では、年次活動計画の作成にかかるワークショップの開催、データ収集様式を含むモニタリング手法の確立、AMCの目標設定とその実現に向けたアクション、並びに達成度を測定するための指標設定を行いました。
外部評価者が、終了した事業を総合的に評価し、終了後も効果が発現しているかを客観的に検証することを事後評価といいます。
評価結果を通じて得られた提言や教訓は、評価対象プロジェクトの改善に役立てるとともに、今後、類似のプロジェクトの計画や実施に活用されます。
この案件では、次の4つのプロジェクトを評価しました。
①カンボジア:無償資金協力の地方州都における配水管改修及び拡張計画
②タイ:技術協力のチャオプラヤ川流域洪水対策プロジェクト
③ラオス:無償資金協力のチャンパサック県及びサバナケット県学校環境改善計画
④ラオス:無償資金協力の南部三県学校環境改善計画
①の事後評価では、プレアシハヌーク、バッタンバン、プルサットの3州都の水道局を訪問し、改修された配水管網がきちんと使われているか、利用者が計画どおりに増えたかなどについて、インタビュー等を通じて調査し、大きな成果が出ていることを確認しました。
地方での調査は順調に進んだ一方で、首都プノンペンの責任機関、工業・手工芸省に何度もアポイントを取ろうと試みましたが、なかなか担当者に会うことができず、最後の最後にやっと少しだけ話をすることができ、評価以外の部分で大変苦労しました。
インドネシアの地方道路は、安定的な状態で管理されている国道と比較すると、同じようなレベルで維持管理されているとはいえません。 その原因として、維持管理のための予算不足、維持管理・予算作成システムの不備による不適切な予算配賦、維持管理ノウハウの欠如などがあげられています。
そこで、本プロジェクトでは、①地方道路を管轄する実施機関の業務遂行能力の向上②地方道路維持管理計画の策定、③実践的な技術手法の開発という3つの成果を掲げ、最終的には地方道路事業の円滑な実施を目指すものでした。コロナ禍の影響もあり、約1年半の期間延長がありましたが、2024年3月に無事終了を迎えることができました。
弊社はプロジェクト・モニタリング及び研修計画を担当し、現地ではワークショップを通じて、指標の設定や進捗状況の確認、研修内容の議論などを行い、実施機関関係者と連携しながら各種活動を円滑に進めてきました。
パキスタン・イスラム共和国のパンジャブ州は、当国最大の人口を有する州であり、複数の物流経済拠点を擁します。 同州が管理する道路総延長は、当国の約3割に達しており、旅客や物流の多くは同州の道路に依存し、道路網の整備は、当国の経済・社会成長の観点からも極めて重要です。
パンジャブ州では、道路・橋梁にかかる適切な維持管理が喫緊の課題となっておりますが、道路・橋梁の維持管理予算が著しく不足し、限られた予算で適切な優先順位を付け、道路・橋梁アセットの長寿命化を図っていくことが目標となっています。
しかしながら、技術者の人材・技術不足、データベース・システムの未整備といった道路・橋梁維持管理にかかる慢性的な問題を抱えていることから、同州の道路・橋梁維持管理にかかる技術力の向上を目的として、本プロジェクトが実施されています。弊社は、プロジェクト・モニタリングを担当し、効果的かつ円滑な事業運営管理を進めております。