学校教育、職業訓練、研究開発などを通じた教育人材育成は途上国の開発援助における大きな柱となっています。
国連は持続可能な開発目標(SDGs)で「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」という教育目標(SDG4)を立てていますが、教育はその他のすべてのSDGs達成に必要不可欠です。
教育の質、教育における格差、若者の雇用などの課題解決に貢献するために、インテムコンサルティングでは、初等・中等・高等教育の関連機材の施設・機材の無償資金協力や教育方法の技術移転などさまざまな角度から支援をおこなっています。
エジプトは国立大学の授業料が無償であることから学生数が増加しており、教員一人当たりの学生数が増大したため教育の質の低下が深刻化しています。
また、講義は座学による理論中心で、実践的・先端的な教育を行う大学は限られていることから優秀な人材の国外流出が問題となっています。
そうした中、2009年に日本・エジプト両政府は、日本の工学教育の特徴を活かし、「少人数、大学院・研究中心、実践的かつ国際水準の教育提供」をコンセプトにした、エジプト日本科学技術大学(E-JUST: Egypt-Japan University of Science and Technology)設立に関する二国間協定を締結しました。
弊社はこの協定のなかで無償資金協力プロジェクトのコンサルタント業務をJICAより請け負っています。日本の事業スコープは、新設される工学部8学科に対する研究・実習機材の整備です。エジプト側はキャンパス建設です。
コンサルタント業務として現地調査(国家計画、担当教授との打合せ、図面確認、現場確認、市場調査、予算状況など)、帰国後のプロジェクト案のまとめ、事業予算積算、入札、契約、調達監理、そして最終段階は現地での施工監理・引渡しまでを行います。
あしかけ7年を想定しなければならない長期のプロジェクトです。
モザンビークは石炭・天然ガスなどの天然資源に恵まれ、多くの外国企業が進出し投資を拡大する一方、建設・土木分野や溶接・鋼材加工分野の技術者が著しく不足しています。
モザンビーク政府は産業人材の育成のため、職業訓練の機会拡大と質の向上に取り組んでいますが、職業訓練機材の不足や施設の老朽化のため、十分な訓練が提供できていないのが実情です。
本事業では、北部、中部、南部それぞれの中心都市であるナンプラ州ナカラ市、ザンベジア州キリマネ市及びマプト州マトラ市の3ヵ所の職業訓練センターの機材と施設の整備を行うことにより、職業訓練の質の向上を図り、地域の産業人材育成に寄与するものです。
本事業の実施により、質の高い職業訓練機会の提供が可能になり、産業ニーズに合致した人材育成を通じて地域の産業振興、経済活性化に貢献することが期待されます。
カンボジアでは、大学を卒業しなくても2年制の「教員養成校」を卒業すると小・中学校教員の資格が与えられています。
本プロジェクトでは、より質の高い教員を輩出するため、日本と同様の4年制の教員養成大学をプノンペンとバッタンバンに2校設立するための基盤構築を支援しています。
2年制から4年制の大学に移行するため、大学組織を運営するための様々な基準や公的文書を整備しなければなりません。
また、専門的なカリキュラムやシラバス、教材なども作成する必要があります。
現地では、大学運営計画や教員評価ガイドラインなど公的文書の開発を大学の学長・副学長ら管理職に、教科毎のシラバス開発を大学教員に、それぞれワークショップなどを通じて支援しています。
また、国内(本邦)研修として、広島大学で大学運営を、奈良教育大学でシラバス開発をご指導頂き、日本の教員養成の知見を活かしつつカンボジアに適した教員養成大学運営や教科指導を目指しています。
南アフリカでは、アパルトヘイト撤廃後、1994年の総選挙でマンデラ大統領が誕生し、急ピッチで新しい施策が打ち出されました。しかし、新カリキュラムのもと、25年たった現在も、児童・生徒の特に算数・数学の学力向上が果たせないでいます。
悩みのひとつは、日本の中学生位になっても、自分の指や描いた丸を数えて計算の答えを求めようとする子どもが多いことです。数の位取り、繰り上がりのある足し算や繰り下がりのある引き算、九九を、低学年の内にしっかり身に着けるための指導を受けていないからです。
カウンターパートである基礎教育省も、やっと低学年の算数教育に大きな関心を持ち始めましたが、これだ!というアプローチを先生たちに示すことが出来ないでいました。
そこで弊社は、まず先生たちに理解していただけて、かつ子どもたちが自分で考える楽しさを味わえる算数学習のヒントを盛り込んだ指導案作成とカリキュラムの見直しについて技術支援しています。
1980年代のセネガル政府は、農業依存の経済から工業に転換することを望んでいましたが、国内では工業分野を担う技術者が圧倒的に不足していました。
そこで日本政府は、1984年にセネガル日本職業訓練センター(CFPT)を設立し、開校以来、セネガルの産業人材育成ニーズを的確に捉え、その時代に応じて学科再編を繰り返しながら質の高い人材を社会に送り出してきました。
近年では産業が多様化・近代化したため、民間分野での技術者がより必要になってきています。このニーズに対応するため、CFPTは民間企業に在職する技術者向けの訓練を開始しました。
本調査は、CFPTから要請された機材が本当に必要なのか、本支援を行うことで、どのような効果が期待されるのか等を検討し、その調査結果を踏まえた計画を立てるものです。
これまで日本政府は、CFPTの開校準備のための無償資金協力を実施して以降2回(2003年、2010年)の無償資金協力、JICA専門家派遣、CFPT指導員の日本での研修など、息の長い支援を継続しています。
弊社は、2003年から3度にわたり無償資金協力を担当することになり、弊社設立以降培ってきた知見を大いに活用し、CFPTへの支援を通じたセネガルの産業人材育成に貢献しています。
ウガンダ共和国は、近年堅調な経済発展を遂げていますが、技術者の多くが外国人であり、若者の雇用が大きな課題です。
日本は、内戦勃発による協力中断はあったものの、1968年以降、同国のナカワ職業訓練校の訓練体制整備や指導員育成を継続的に支援し、同行は国内トップの職業訓練校となりました。
しかし同国の産業ニーズの拡大に伴い、技術レベルのニーズが高度化している一方、技術者教育は知識偏重で実践力不足と指摘されています。
弊社は、プロジェクトの運営管理を行うとともに、こうした産業界のニーズに応える人材育成機能の強化を支援しています。具体的には、ナカワ職業訓練校の校長及び指導員へ助言・指導や技術移転、短大の設立支援、産業界との連携による実践的なコース開発と実施です。また、同校を産業人材育成拠点とした、ウガンダ全体の職業訓練の質の向上を目指しています。
同国の産業界では、女性の技術者はまだまだ少数派ですが、プロジェクトを通じて一人でも多くの女性の職業訓練指導員に研修機会が提供できていることは、とても嬉しく、またやりがいを感じています。
カンボジア王国は1980年代以降の紛争復興期に、大幅な教員不足に対応するため2年制の教員養成カリキュラムを組み、教員養成校を卒業すると小・中学校教員の資格が与えられました。しかし、未だ教員の質の確保が課題であるため、カンボジア政府は4年制の教員養成大学を設立し、より質の高い教員の育成を目標としました。
本プロジェクトはその基盤構築支援として、日本の教員養成の知見を活かしつつカンボジアに適した教員養成大学運営や教科指導を目指し、政府の大学化戦略計画策定、大学組織を運営するための様々なガイドラインや公的文書の策定・整備、4年間分の専門カリキュラムやシラバスの開発、学術研究への専門的アドバイス、年間を通じた教育課程の実施運営支援等の活動を行いました。
6年間のプロジェクト期間を通じて、大学運営管理体制の構築、授業研究体制の整備、大学教員の国際学会での研究発表など、多くの成果がありました。また、専門的な見地から広島大学や奈良教育大学の先生方の協力を得て実施しました。
本プロジェクトは中学校の数が大きく不足しているザンベジア州に、新しく中学校4校を建設するものです。弊社は理科室で使用する実験器具、PCルームに設置するデスクトップパソコン等の整備を進めました。
ザンベジア州では初等教育の普及に伴う中等教育就学者の急速な増加に対して施設の整備が追いつかず、小学校施設の転用・借用や、3シフト制での授業運営を強いられています。また中学校までの通学距離などの問題で、学校へ通うことができない子供がたくさんいます。
また本プロジェクトでは障がいを持つ生徒の利用に配慮した渡り廊下等の設置に加え、女子生徒にとって使い易いトイレとするなど、今後の中学校建設におけるモデルとなる施設となっています。本プロジェクトはジェンダー間の平等や脆弱な状況下にある子どもたちの教育への参加促進に寄与するものです。
本プロジェクトはダッカ市内の技術短期大学3校(ダッカ工科短期大学、ダッカ女子工科短期大学、技術教育教員養成大学)の電気・電子・機械・コンピュータ学科(遠隔教育機材含む)に対し工学系教育・実習機材を整備するものです。
バングラデシュは、民間企業の業務内容の高度化、業種の多様化がなされる中で、そのニーズに合致した中級・上級の技術者を輩出する機関が限られており、労働力の質的、量的なギャップが生じています。
バングラデシュ教育省が掲げる、経済成長を支える技能者の輩出、技術教育内容の多様化、教育機関の近代化、さらには民間企業との連携といった目標を実現するため、本プロジェクトでの協力により、技術教育の改善に向け、技術短期大学の人材育成環境を整え、バングラデシュの経済成長に寄与することを目指しています。
アフリカ・サヘル地域の諸国では、脆弱なガバナンスやそれに起因する開発の遅れが地域全体の不安定化に大きく影響してきました。さらに近年では過激派勢力の伸張による著しい治安の悪化にも直面しています。
本調査では、サヘル地域5か国(ニジェール、ブルキナファソ、チャド、モーリタニア、マリ)における若年層、脆弱層、女性を対象に、域内の平和構築に効果的に活用できる取り組みについて、情報収集を行いました。また、移民や国内避難民を含む脆弱層の生計向上につながる技術・職業訓練及び暴力的過激主義抑止に資する5件の試行事業を実施し、今後の事業展開に向けた有効性や実施体制を検証しました。
調査の終盤では、域内経験共有ワークショップを対面とオンラインのハイブリッド形式で実施し、試行事業の成果を現地関係者と共有するとともにサヘル地域における有効な対策を抽出しました。
タンザニア政府は2025年までに中所得国入りを掲げて、人材育成による産業化促進を主要政策としています。しかし、失業率は9.7%と高く、その割合は、若年層においてはさらに深刻となっています。
本調査では、公立の職業訓練校の電気設備、自動車整備、食品加工分野において産業界と訓練内容のギャップに係る情報収集及び分析を行い、課題を洗い出しました。その上で、これらの課題解決にむけたパイロット事業を行い、今後JICAがおこなうべき支援策を検討しました。
パイロット事業では、電気自動車の整備を取り上げ、企業ニーズに即した人材を育成するために求められる最新技術の習得だけでなく、ソフトスキル(5Sや問題解決手法)、仕事に対する心構え、キャリア開発等の訓練を実施しました。このような民間企業と連携した検証を通じ、これらの訓練メニューを組み合わせることで即戦力となる人材を迅速に育成できることが実証され、当社の提案は、JICAの技術協力の骨子として現在検討されています。
■パレスチナ 遠隔教育機材整備計画
■エルサルバドル デジタル教材制作推進計画
新型コロナウイルスの世界的な流行により対面での授業実施が困難となり、教育を継続するためのツールとして、オンラインを活用した遠隔教育の必要性が高まりました。パレスチナとエルサルバドルでは、それぞれの地域事情により、現在でも児童生徒が対面授業にアクセスすることが困難な現状があります。
本調査では、パレスチナとエルサルバドルに対し、無償資金協力による遠隔教育教材制作及び視聴覚機材を整備することにより、児童生徒向けの遠隔教育推進、そして学習理解の促進に寄与できるかを検証し、その効果を発現するための協力計画を立案しました。
「パレスチナ地域遠隔教育機材整備計画」は、パレスチナの教育テレビ局スタジオに撮影機材を整備し、ヨルダン川西岸地区の学校に視聴覚機材及びICT機材を整備することにより、初等教育の学習環境の改善を実現し、人間の安全保障に基づく民生の安定と向上に寄与するものです。
また、「エルサルバドル国デジタル教材制作推進計画」は、全国3カ所の国立教員研修所、教員研修センターに撮影・編集用機材を整備し、教育コンテンツ制作や国内各地域の映像素材を収集することで、児童生徒向けの質の高い教材開発を行い、児童生徒の学習理解の促進に寄与するものです。