学校教育、職業訓練、研究開発などを通じた教育人材育成は途上国の開発援助における大きな柱となっています。
国連は持続可能な開発目標(SDGs)で「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」という教育目標(SDG4)を立てていますが、教育はその他のすべてのSDGs達成に必要不可欠です。
教育の質、教育における格差、若者の雇用などの課題解決に貢献するために、インテムコンサルティングでは、初等・中等・高等教育の関連機材の施設・機材の無償資金協力や教育方法の技術移転などさまざまな角度から支援をおこなっています。
カンボジア王国は1980年代以降の紛争復興期に、大幅な教員不足に対応するため2年制の教員養成カリキュラムを組み、教員養成校を卒業すると小・中学校教員の資格が与えられました。しかし、未だ教員の質の確保が課題であるため、カンボジア政府は4年制の教員養成大学を設立し、より質の高い教員の育成を目標としました。
本プロジェクトはその基盤構築支援として、日本の教員養成の知見を活かしつつカンボジアに適した教員養成大学運営や教科指導を目指し、政府の大学化戦略計画策定、大学組織を運営するための様々なガイドラインや公的文書の策定・整備、4年間分の専門カリキュラムやシラバスの開発、学術研究への専門的アドバイス、年間を通じた教育課程の実施運営支援等の活動を行いました。
6年間のプロジェクト期間を通じて、大学運営管理体制の構築、授業研究体制の整備、大学教員の国際学会での研究発表など、多くの成果がありました。また、専門的な見地から広島大学や奈良教育大学の先生方の協力を得て実施しました。
本プロジェクトは中学校の数が大きく不足しているザンベジア州に、新しく中学校4校を建設するものです。弊社は理科室で使用する実験器具、PCルームに設置するデスクトップパソコン等の整備を進めました。
ザンベジア州では初等教育の普及に伴う中等教育就学者の急速な増加に対して施設の整備が追いつかず、小学校施設の転用・借用や、3シフト制での授業運営を強いられています。また中学校までの通学距離などの問題で、学校へ通うことができない子供がたくさんいます。
また本プロジェクトでは障がいを持つ生徒の利用に配慮した渡り廊下等の設置に加え、女子生徒にとって使い易いトイレとするなど、今後の中学校建設におけるモデルとなる施設となっています。本プロジェクトはジェンダー間の平等や脆弱な状況下にある子どもたちの教育への参加促進に寄与するものです。
本プロジェクトはダッカ市内の技術短期大学3校(ダッカ工科短期大学、ダッカ女子工科短期大学、技術教育教員養成大学)の電気・電子・機械・コンピュータ学科(遠隔教育機材含む)に対し工学系教育・実習機材を整備するものです。
バングラデシュは、民間企業の業務内容の高度化、業種の多様化がなされる中で、そのニーズに合致した中級・上級の技術者を輩出する機関が限られており、労働力の質的、量的なギャップが生じています。
バングラデシュ教育省が掲げる、経済成長を支える技能者の輩出、技術教育内容の多様化、教育機関の近代化、さらには民間企業との連携といった目標を実現するため、本プロジェクトでの協力により、技術教育の改善に向け、技術短期大学の人材育成環境を整え、バングラデシュの経済成長に寄与することを目指しています。
アフリカ・サヘル地域の諸国では、脆弱なガバナンスやそれに起因する開発の遅れが地域全体の不安定化に大きく影響してきました。さらに近年では過激派勢力の伸張による著しい治安の悪化にも直面しています。
本調査では、サヘル地域5か国(ニジェール、ブルキナファソ、チャド、モーリタニア、マリ)における若年層、脆弱層、女性を対象に、域内の平和構築に効果的に活用できる取り組みについて、情報収集を行いました。また、移民や国内避難民を含む脆弱層の生計向上につながる技術・職業訓練及び暴力的過激主義抑止に資する5件の試行事業を実施し、今後の事業展開に向けた有効性や実施体制を検証しました。
調査の終盤では、域内経験共有ワークショップを対面とオンラインのハイブリッド形式で実施し、試行事業の成果を現地関係者と共有するとともにサヘル地域における有効な対策を抽出しました。
タンザニア政府は2025年までに中所得国入りを掲げて、人材育成による産業化促進を主要政策としています。しかし、失業率は9.7%と高く、その割合は、若年層においてはさらに深刻となっています。
本調査では、公立の職業訓練校の電気設備、自動車整備、食品加工分野において産業界と訓練内容のギャップに係る情報収集及び分析を行い、課題を洗い出しました。その上で、これらの課題解決にむけたパイロット事業を行い、今後JICAがおこなうべき支援策を検討しました。
パイロット事業では、電気自動車の整備を取り上げ、企業ニーズに即した人材を育成するために求められる最新技術の習得だけでなく、ソフトスキル(5Sや問題解決手法)、仕事に対する心構え、キャリア開発等の訓練を実施しました。このような民間企業と連携した検証を通じ、これらの訓練メニューを組み合わせることで即戦力となる人材を迅速に育成できることが実証され、当社の提案は、JICAの技術協力の骨子として現在検討されています。
■パレスチナ 遠隔教育機材整備計画
■エルサルバドル デジタル教材制作推進計画
新型コロナウイルスの世界的な流行により対面での授業実施が困難となり、教育を継続するためのツールとして、オンラインを活用した遠隔教育の必要性が高まりました。パレスチナとエルサルバドルでは、それぞれの地域事情により、現在でも児童生徒が対面授業にアクセスすることが困難な現状があります。
本調査では、パレスチナとエルサルバドルに対し、無償資金協力による遠隔教育教材制作及び視聴覚機材を整備することにより、児童生徒向けの遠隔教育推進、そして学習理解の促進に寄与できるかを検証し、その効果を発現するための協力計画を立案しました。
「パレスチナ地域遠隔教育機材整備計画」は、パレスチナの教育テレビ局スタジオに撮影機材を整備し、ヨルダン川西岸地区の学校に視聴覚機材及びICT機材を整備することにより、初等教育の学習環境の改善を実現し、人間の安全保障に基づく民生の安定と向上に寄与するものです。
また、「エルサルバドル国デジタル教材制作推進計画」は、全国3カ所の国立教員研修所、教員研修センターに撮影・編集用機材を整備し、教育コンテンツ制作や国内各地域の映像素材を収集することで、児童生徒向けの質の高い教材開発を行い、児童生徒の学習理解の促進に寄与するものです。